韓国の小説の翻訳に挑戦(12)―チョ・ヘジン
2016-10-13


 語学勉強のための小説翻訳。 この小説に出てくる「徐君」とは、在日韓国人の徐勝さんのことです。 1971年に北朝鮮のスパイとして逮捕され、取り調べ中に大やけどを負った方で、当時の日本では救援活動が盛んでした。

 小説は、忘れ物センターに勤める人の叔母が、逮捕前の「徐君」に出会って一生を独身で通してきた、という設定です。

‘もの’との決別 [URL]

 原題は〓〓〓〓 〓〓(事物との作別)です。題名をどうしようかと悩んだのですが、結局は原題を尊重して題名をつけました。

 当時の韓国人は北への警戒心が極めて厳しい時代で、在日韓国・朝鮮人は北=朝鮮総連の手先ではないかと常に警戒されていました。それはKCIAなどの取り締まり機関だけでなく、韓国民全体がそうでした。

 そんな時代に叔母が何の疑いもなく簡単に「徐君」に会い、彼から中身の分からない日本語原稿を預かったという設定に、大きな違和感を持ちました。今の韓国では、こういう設定に違和感を感じなくなっているということでしょうねえ。

 ところで徐勝さんは、韓国留学前に北朝鮮に密出入国したことを認めておられます。徐勝さんが北のスパイであったことは事実とみていいでしょう。

【これまでの小説の翻訳】

韓国の小説の翻訳に挑戦         [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦 (2)       [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦 (3)       [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(4)−孔枝泳  [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(5)―孔枝泳(2)  [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(6)―申京淑(3)  [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(7)―殷熙耕(2)  [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(8)―クォン・ヨソン  [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(9)―ファン・ジョンウン [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(10)―キム・エラン [URL]

韓国の小説の翻訳に挑戦(11)―ソン・ボミ [URL]


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