解放運動の力が落ちたこと
2015-01-08


 あれは十何年か前のことだったから、世紀の変わり目の2000年前後のことと思います。ある解放同盟の活動家の方が、「ある企業に電話して解同の○○だと名乗ったら、電話に出た若い社員が、‘解同’って何ですか?と平然と聞かれて、こっちが驚いた。ちょっと前までは‘解同’と言っただけで、相手は言葉を震わせて「はい、すぐに上司に変わります」と言ったものだが、‘解同’という言葉自体を知らない者が電話に出てくるなんて、思ってもみなかった」とおっしゃったことを思い出します。

 「解同」と聞いただけで震え上がったのは、何も企業だけでなく、各自治体もそうでした。解同のゴリ押し、法・ルール無視の嵐は1970年〜90年代のことでした。 解同の同和利権の話をすると、昔でしたら「お宅もそうなんですか。うちでもそういうことがありました」というような話がすぐに出てきたし、「バカ!こんな話、解同に知られたら大変なことになるぞ!」「解放運動に巻き込まれたら大変なことになる」とたしなめられるのが普通でした。

 解放運動の理念に共鳴した人でも、解同への不信を実際に体験・見聞することがよくありました。 例えば、解同が大衆動員する集会・デモは日曜日に行われることがほとんどです。 集会やデモ行進を整理するのは解同の青年行動隊の人たちです。 彼らの多くが耳にイアホンをしているので、大勢の人を整理するために無線で連絡をとっているので大変なんだなあと当初思っていたのですが、どうも様子がおかしい。 そうすると青年行動隊の人が、集会・デモの進行とは全く関係ない時点で、一斉に表情が変わりイアホンに耳を傾けているのです。 しばらくして「やった!○○が勝った!」「ちくしょう!」という声が聞こえてきました。 何のことはない、競馬中継を聞いていたのです。

 世間が解放運動に対して見る目が変わったのは、21世紀に入ってからだろうと記憶しています。 決定打は解放運動の様々な不祥事がマスコミに報道されたことでした。 今は「解同」と聞いても誰も震えることがなくなりました。 この点だけでも少しは世の中よくなったのかなあと思います。  

【拙稿参照】

闇に消えた公金―芦原病院・同和行政 [URL]

松岡徹さん            [URL]

これが「真摯に反省」?      [URL]

飛鳥会事件―「心から謝罪」は本当か?[URL]

解放運動に入り込むヤクザ     [URL]

同和地区の低学力         [URL]

水平社宣言            [URL]

部落(同和)問題は西日本特有の問題 [URL]

解放運動の「強姦神話」       [URL]

差別と闘うことへの疑問      [URL]

弱者の腐敗            [URL]

松岡徹氏に関する拙稿が役立った  [URL]

活動家の転落           [URL]

差別の現実から学ぶとは?     [URL]

同和教育が差別意識をもたらす   [URL]

かつての解放運動との交渉風景   [URL]

郵便ポストを設置させた解放運動  [URL]

同和地区の貧困化         [URL]


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