解放運動
2014-05-02


 朝鮮の李朝時代の両班の、現在から見れば非道徳的な振る舞いについて論じました。   [URL] [URL]

買えばお金を払う、借りたものは返す、という現代では当たり前の倫理は、両班と常民との間では成立しなかったのです。常民は両班の無理難題に黙って従う、それが朝鮮の中世社会です。

 これを読んで、だから朝鮮人なんて奴は‥‥などと溜飲を下げて自らのレイシズムを高める人もいるでしょう。 しかし、日本ではこんなことはあり得ないと思ったら大間違いです。 つい十年ほど前まで、このような非道徳な振る舞いがまかり通ったことが、一部ですが日本社会の中にあったからです。

 それは解放運動の世界にありました。

活動家の転落  [URL]

 ここで藤田敬一さんは、ある解放運動活動家の非行について 

「約束は守る。借りたら返す。買うたら払う」は、市民生活の常識です。それを長年にわたって破ってきたとは。情けなさに身もだえする年の暮れ

と述べておられます。 そこでは特定の活動家のことになっていますが、解放運動に接したことのある人、特に会社の総務や役所などで業務上に解放運動と付き合わねばならなかった人には実感できるのではないかと思います。 「さもありなん」「こちらもそうだった」と。

 同和対策事業が1969年に施行されました。 その事業の中で、奨学金制度があります。 同和奨学金は他の奨学金に比べかなり有利でしたが、それでも借りたものですから返さねばなりません。 しかし返済した人は0に近いでしょう。 解放運動は、わが運動に参加すれば奨学金は返さなくていいと宣伝していました。 これを真に受けた人が多かったのです。 確かに解放運動の先進地域では、返済金を肩代わりする制度を行政に作らせたこともありました。

 同和地区の産業を活性化するために、同和企業に融資する制度もありました。 利息はほとんど0で、非常に有利なものです。 しかしこれも返済した人はほとんどいないでしょう。 同和企業の社長さんが「そんな(返済義務)こと、行政が何とかしてくれる」と言っていたのを今も鮮明に記憶しています。

 解放運動がモラル崩壊をもたらしたと言えます。 これが1970年代から2000年代前半までの30数年にわたり、解放運動が日本中に猛威をふるったなかでの出来事でした。 ほんの最近です。

 隣国の古い時代の李朝両班モラル喪失を知って溜飲を下げる前に、近年のわが日本ではどうだったかを検証すべきでしょう。

 今の若い世代の人たちには想像もつかないような世界が、日本にもありました。

【拙稿参照】

闇に消えた公金―芦原病院・同和行政 [URL]

これが「真摯に反省」?      [URL]

飛鳥会事件―「心から謝罪」は本当か?[URL]

解放運動に入り込むヤクザ     [URL]

水平社宣言            [URL]

部落(同和)問題は西日本特有の問題 [URL]

解放運動の「強姦神話」       [URL]

活動家の転落           [URL]

差別の現実から学ぶとは?     [URL]

かつての解放運動との交渉風景   [URL]

郵便ポストを設置させた解放運動  [URL]


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