7月19日付けの産経新聞に「児童に勝手な朝鮮名 東大阪市立小の民族学級、保護者の明確な同意得ず」という記事がありました。 [URL]
大阪府東大阪市の市立布施小学校の課外活動「民族学級」で、在籍する児童について日本国籍で日本人名を使って生活しているのに学校側が勝手に朝鮮名を付けて呼んでいたケースがあったことが19日、学校などへの取材で分かった。日本名の文字を朝鮮語の読み方をして呼んでいたという。これについて保護者側の明確な同意を得ておらず、学校側は抗議を受けて対応を改めた。学校側は「保護者に説明したつもりだったが、了承を得る取り組みが不十分だった」としている。
「民族学級」というのは、戦後に日本各地でできた「朝鮮人学校」が強制閉鎖された代償として、いくつかの公立学校に設置された課外クラスです。 朝鮮人の子どもたちに「民族主体性」「民族の自覚」(昔はこんな言い方がよく使われました)を持たせようと、朝鮮の言葉や文化・歴史なんかを教えるもので、正規授業ではなく放課後にする授業です。
1970年代以降は在日といえば本名(民族名)を隠しながら通名(日本名)で生きるというイメージで、本当は本名を名乗って堂々と生きていきたいのに、日本社会の民族差別のためにそれができないと思われていました。 だから在日は本名を名乗ってこの差別と闘おう(本名を呼び名乗る)なんて主張する運動団体が幅を利かせていましたね。 その運動団体の強い影響の下、一部の先進的な学校や教師たちは在日生徒たちに通名ではなく本名、しかもハングル読みを使わせていました。
確かに当時は朝鮮人であることにコンプレックスを抱く子供たちが多かったですから、本名を名乗って民族の誇りを取り戻そうとする民族学級の取り組みは、それなりに意義があったと言えます。 しかし今は在日の状況が大きく変わり、その意義が揺らいでいるようです。
母親によると、親族に朝鮮半島にルーツがある人がいることから民族学級に在籍しているが、子供は日本国籍で、日本名で生活している。そもそも朝鮮語読みする名前はない。それなのに民族学級では学校側に勝手に付けられた朝鮮名で呼ばれていた。母親は子供に「嫌ではないか」と尋ねると、「嫌だけど(民族学級の児童は)みんなそう呼ばれているから」と答えたという。
母親がルーツを子供に伝えていなかったにもかかわらず、学校で子供は朝鮮語の名前で呼ばれていた。「朝鮮語読み」をやめるよう学校側に訴えたが、今まで改まることはなかったという。
この民族学級は元々は在日韓国・朝鮮人子弟が参加するものだったのが、今では親族に朝鮮半島ルーツの人がいるというだけで在日扱いして参加させているようです。 この場合、例えば日本戸籍に登載されている本名が「花子」とすると、「ファジャ」と勝手にハングル読みをさせて、それを学校内で通用させていたというから驚きですね。 「本名を呼び名乗る」運動の理念からすると本名の「花子(はなこ)」と呼ぶべきであって、「ファジャ」は通名になりますから使ってはならないと思うのですが。
更にもう一つ疑問が湧きます。 「本名」とは何かという疑問です。
「本名を呼び名乗る」運動時代から提起されていたのですが、例えば外国人登録の名前が「一二三」の在日がいたが、「ひふみ」と読めばいいのか朝鮮語読みして「イリサム」と言えばいいのか。 「イリサム」は韓国・北朝鮮ではおよそあり得ない名前で、こんな呼び方をして「民族の自覚」なんて言えるのか?という疑問です。
こういう例が一つ出ると、疑問が次から次へ出てきます。 ある教師がうちの在日生徒の名前は「みどり」で、このひらがな名で外国人登録されている、「本名を呼び名乗る」運動ではこの場合どうすればいいのか? 「みどり」という余りにも日本風の名前をハングルで書いて、それで「民族の自覚」なんて言えるのか?という疑問を提起していました。
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