『週刊朝鮮 2590号』2020年1月6日付けにある「シン・ジホの正眼世論」というコラムの中に、次のような一文があります。
MBC 〓〓〓 〓〓〓 〓〓 〓〓〓〓 ‘〓〓 〓〓’〓 〓〓〓〓〓, 〓〓 〓〓 〓〓 〓〓 〓〓 10〓〓 〓〓〓〓〓 6〓〓 〓〓 6〓〓〓 〓〓〓〓 〓〓〓.
訳してみますと
MBCの崔承浩社長は、過去の経営陣を『人間白丁』に比喩したが、実際、彼の社長就任以降10人が解雇され、6人が停職の重懲戒を受けた。
MBCは韓国の放送局の一つです。 韓国では放送局への権力介入が激しく、権力が替われば経営者も替わります。 保守・進歩の対立がありますので、保守→進歩あるいは進歩→保守と政権が替わる度に社長等の役員が入れかわり、放送内容の性向もそれに合わせて変わることになります。
崔承浩さんは、保守の朴槿恵大統領から今の進歩の文在寅大統領になってから社長に就任した方です。 ですから典型的な進歩系人士です。 その方が、それまでの保守系経営陣を「人間白丁」と罵倒したという話ですね。
「白丁」はかつての賤民で、日本の「穢多」に相当する身分です。 ですからこの言葉を使うには、かなり気を使わねばならないと思うのですが、韓国の進歩系人士が相手方を罵る言葉として「白丁」を使ったのです。
韓国の進歩といえば、かつての軍事政権下で民主化運動を果敢に闘ってきた人、およびその系列の人士です。 ですから我々の感覚では人権を大切にする人たちというイメージになるでしょうが、実際はこのような露骨な差別語が使われています。
以前に拙ブログで、韓国の動物保護団体が犬肉処理業者を「犬白丁」と罵倒したというニュースを紹介しました。
韓国の映画やドラマでも「白丁」はよく出てきます。 それも時代劇だけではなく現代で低い地位にある人のことを「白丁」と言うのです。 またこれを逆手にとったのか、「白丁」という名前の焼肉屋チェーン店もあります。
また北朝鮮はかつて韓国大統領を「人間白丁」と罵倒していましたし、今の脱北者で北朝鮮民主化運動をしている人たちも金正恩を「人間白丁」と罵倒しています。
韓国では右も左も関係なく日常の中で、そして北朝鮮の体制側も反体制側も、「白丁」は使われています。
これをどう見たらいいのでしょうか。 もはや「白丁」差別がなくなったから自由に使っていると見るのか、そんな言葉が跋扈するほど厳しい差別社会であるのに誰も気付いていないと見るのか。
これについては韓国人自身が論じてほしいと思うのですが、見当たりませんねえ。
【拙稿参照】
脱北者団体が使った「白丁」という言葉 [URL]
「白丁」について [URL]
「〓〓〓」とは何か? [URL]
韓国ドラマに出てくる「白丁」 [URL]
韓国映画に出てくる「白丁」 [URL]
韓国の有力紙に出てくる「白丁」 [URL]
「韓国は差別がゆるい」? [URL]
水平社と衡平社 [URL]
「白丁」考 [URL]
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