韓国の「祖孫家庭」問題(3)
2013-12-15


住居環境が劣悪で、祖父母の身体が不自由なせいで衛生状態も問題である。子供たちが三度の食事をインスタント食品で間に合わせる場合も多い。朴ファオク教授が発表した祖孫家庭実態調査によれば、孫たちの38%が鼻炎を病んでいて、皮膚炎も16%に達する。また祖父母の場合、高血圧、関節炎など平均2.9個の慢性疾患を病んでいると分かった。祖父母が高齢であることから、保護を受けねばならない孫たちが逆に身体が不自由で長患いしている祖父母の保護者の役割をする場合もある。

金ミギョン館長は「70代のおじいさんと小学2年の孫娘が暮らしているある祖孫家庭を訪問してみると、問題が深刻だった。家はまるで修羅場で、孫は放ったらかしにされていた。子供が風呂にも入らず臭いが出ているので、学校でイジメにあうようになった。知能に問題はないのだが精神遅滞児水準で、学習不振が深刻だ。住居環境も家のあちこちにカビが生えていて、極めて不潔なので病気しないかと心配だ」といって「年を取って病気がちの祖父母と一緒に暮らすのは子供たちに悪いことではないのだが、このような場合にはむしろ施設に送る方が子供たちのために正しい選択ではないかと悩んできた」と語った。

家族崩壊の影で、血縁というだけで作られる危なっかしい祖孫家庭。家庭が子供を守る防壁となっていない状態で、子供たちは生活保護受給者として育ち、貧困が代を継ぐ可能性が大きい。結局、その責任は社会がまるごと引き受けることが繰り返される。血の繋がりという理由であらゆる問題を引き受けて家族を維持するのが望ましいのか、脆弱世代の結合である‘危機の家庭’を解体して‘安全な家庭’を作ってやらねばならないのか、今の時点でわが社会は悩みを始めなければならない。

 韓国では1年ほど前に、祖孫家庭の病気がちのおばあさんが急死し、育てていた10ヶ月の曾孫が飢死するという痛ましい事件がありました。

韓国で、おばあさんと赤ちゃんの痛ましい死 [URL]

 家族のあり方が、韓国と日本とでは少し違っています。この違いが祖孫家庭という、日本では聞き慣れない家族形態が韓国では社会問題になっているということです。

 日本人の感覚からすると、離婚したとはいえ自分の産んだ子供を祖父母に任せきりにして再婚するとか連絡を切るとかなんてちょっと考えられませんが、韓国ではこういう場合が多いというのは韓国特有の家族のあり方から来るものです。これについては、また別途書きたいと思います。

 日本でも幼い子供の虐待死など、子供の問題は深刻なものです。それだけに韓国の祖孫家庭問題は胸が痛みます。


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