韓国で、おばあさんと赤ちゃんの痛ましい死
2012-08-04


 韓国の新聞『朝鮮日報』に、韓国で起きた余りに痛ましい事件が報道されています。日本語版には出てこない記事なので、ほとんど知られていないようです。訳してみました。

2012年7月30日付け

「助けてくれ」という言葉も出せなかったおばあさんと赤ちゃんの孤独死

去る27日、江原道江陵市のあるアパートの浴室で、69歳の朴さんというおばあさんと生後10ヶ月のひ孫が、一緒に亡くなっているのが発見された。赤ちゃんは服を脱がされていて、朴おばあさんは便器の横で倒れていた。朴おばあさんが半月ほど前から姿を見せていないと隣の人たちは語った。おばあさんはその頃、浴室でひ孫を洗ってやろうとした時に倒れ、ひ孫jはその間放置されたまま、飢え死にした可能性が高い。おばあさんは4月に胃癌の手術を受けた後、5月に再発したのだが、十分に治療を受けることができないで、高血圧も病んでいた。おばあさんの孫娘でもある、赤ちゃんの母親は19歳であるが、昨年子供を産んで嫁入り先で4ヶ月ほど暮らしたが、家を出て、おばあさんに息子を預けて仕事をするといって、京畿道のグンポに行ったという。

癌手術を受けた身体で一人赤ちゃんの面倒を見なければならなかったおばあさんが、普段どのような生活をしてきたのか想像するのも難しい。生後10ヶ月ならば、両親の愛情をたっぷり受けて、あんよの練習や乳母車に乗って外出する時である。そのような赤ちゃんが、面倒見てくれる人が一人もおらずに飢え死にしたのである。

朴おばあさんには息子が二人いるが、束草で暮らす長男は暮らし向きが苦しいために、1年に1・2回見舞いに来る程度だったという。亡くなった赤ちゃんの祖父に当たる次男は、妻と死別してから日雇い仕事をして、一人で暮らしている。赤ちゃんを預けて仕事に出た孫娘は、6月初めに携帯電話を失くてしまい、新しく買い替える余裕もなく、連絡が途絶えたという。我が国の社会の底辺層が実体験している家族解体と孤立無援の姿がそのまま現れている悲しい話である。所得2万ドル国家の一方の片隅では、持っているものは体以外になく、家族同士がお互い助け合おうという考えすらできないで暮らしている人は、想像以上に多い。

25年間、ソウルのサダン洞のタルドンネとサンゲ洞(以上は貧民街)の賃貸住宅を対象に貧民研究をしてきて『サダン洞+25』という本を出版した東国大学の曹ウン名誉教授は最近のインタビューで「我が国の社会の貧困構造があまりに固定化して、階層移動ほとんど不可能になった」と語った。曹教授が研究した22世帯の家族は、中華料理の配達、オートバイの宅配、道端で服の商売、ミシン仕事、栗の皮むき、封筒貼りのような仕事をして暮らす。‥‥

江陵の朴おばあさんは誰かに助けを求めることが一度も出来ず、ひ孫と一緒にあの世へ行った。我が国の社会が、最底辺の人たちの面倒を見ることができるシステムを十分に備えていたならば、このような悲劇はなかったのである。

 貧富格差の固定化は、日本でもかなり以前から深刻な問題になっています。韓国は、この点でも日本の後を追っているのかなあ、と思いました。


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