夫婦別姓―毎日新聞の読者投稿
2025-04-13


 4月12日付の毎日新聞の「みんなの広場」欄に、「選択的夫婦別姓に異議なし」と題する投稿がありました。 [URL]

選択的夫婦別姓制度の導入に異議ありません。反対する根拠に説得力を感じません。 結婚で姓を変えることで不利益を被る人がいるのであれば救済すべきでしょう。 子供の姓は二人で相談して決めればよいこと。子供の名前を決めるのと同じではないでしょうか。 別姓が嫌な夫婦は同姓にすればよいだけです。

中国でも韓国でも夫婦別姓が普通ですが、家族のきずなが弱いとは思えません。 私は韓国に駐在していた経験がありますが、韓国の家族や親族のきずなは大変強いものがありました。 お母さんは、何々ちゃんのお母さんで通っていました。 日本でもそもそも家庭内で姓を呼び合うことは、まずないでしょう。 ‥‥

 韓国の夫婦別姓について触れていますので、ちょっと一言します。 「韓国の家族や親族のきずなは大変強い」というのは事実ですが、この場合の「家族」「親族」は父系を中心とするものであることに注意が必要です。 韓国の伝統的家族観では、女性は結婚(嫁入り)しても夫側の家族の一員になるわけでなく、男子を生んで初めてその子の母として夫家族で存在を認められるというもので、徹底した父系重視です。 だから女性は結婚しても姓を変えないのです。 韓国の夫婦別姓は、元々は女性差別の結果だということを踏まえてほしいものです。

 韓国の夫婦別姓については、拙ブログでは5年ほど前に少し詳しく論じたことがありますので、ご参照ください。  [URL]

 なお韓国では2007年に戸籍制度が廃止されて、父系家族制度ではなくなりました。 ですから今は法的には男女対等の夫婦別姓制度ですが、父系重視の伝統的家族観は強固に残っています。 ですから生まれる子供の名は、父から受け継ぐのがほとんどです。

 ところが近年の韓国の若者たちは、結婚・出産そのものを忌避する傾向が強くなってきています。 つまり「家族」を否定する考え方ですね。 今までは父系重視の「韓国の家族や親族のきずなは大変強い」のですが、将来はそんな伝統的家族観はもちろん、男女平等の近代的家族観すらも離れて、「家族」そのものの存在が薄れていく社会になっていくのではないかと思われます。


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