この写真資料は、水野直樹ほか編著『図録 植民地朝鮮に生きる―韓国・民族問題研究所所蔵資料から』(岩波書店 2012年9月)の124頁に掲載されている、武運長久を祈願する日の丸です。 時期は「1944年」とされていますが、おそらく間違いないでしょう。 創氏改名後4年が経ち、しかも軍国主義の象徴の典型となる資料です。
寄せ書きには多数の名前が記されています。 「高山栄錫」「準錫」「黄原」「金野」等、朝鮮人らしい名前があるなかで、姓名ともに民族名が一つあります。
右端の「一片丹心」の左側に「祈健康 木下□ 江李源達」とあります。 □は何という漢字か、今のところ分かりません。 「江」は方向を示す助詞「へ」になります。 従ってこれは「『祈健康』という言葉を木下□へ李源達が送る」という意味です。 分かりやすいように「李源達」に赤線を引いておきました。
創氏改名後も民族名が違和感を持たれることなく、ごく自然に受け入れられていた、と言わざるを得ません。
【拙論参照】
創氏改名の誤解―日本名は強制されていない [URL]
創氏改名の誤解―日本名は強制されていない (2) [URL]
創氏改名の誤解―日本名は強制されていない (3) [URL]
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