やはり上野千鶴子さんは闘う活動家
2024-02-29


 文春オンラインに、フェミニズムの上野千鶴子さんの記事が出ました。 見出しは「『言葉を失いました』10代女性を相手に講義をしたところ…東京大学名誉教授・上野千鶴子がかけられた“衝撃の言葉”」です。 [URL]   [URL]

 このなかで彼女は次のように語っておられます。

さらに、衝撃的な体験を語ってくれた。

「このあいだ、10代の女の子たちを相手に講義をする機会があって、いつものように日本女性を取り巻くデータを淡々と見せて話したら、そのうちの1人から『上野さんの講義を聞いて、私たちが出ていく世の中が、まっくらなんだってよくわかりました』と言われて。言葉を失いました」

苛立ちや怒りも隠さない。

「当然、書名(上野著『こんな世の中に誰がした?』)そのままの言葉で詰め寄りたい気持ちはありますよ。社会や会社の上のほうにいる、既得権益にまみれたおじさんたちに」

ただ、もはや彼らにばかり問題を押し付ければ済む段階ではないともいう。

「今の社会をつくってきた大人の“あなた”の責任を果たしてください、と言いたいんです。傍観してきたあなたにも責任があります。だって、10代の女子に、自分が出ていく社会はまっくらだ、なんて言わせていいと思いますか? 彼らの未来が明るくなるように、あなたが果たすべき責任は何か。考えて行動してほしいですね」

 上野さんの本はかつてちょっと読んだことがあって、その時は活動家だという印象を持ちました。 そしてこの一文を読んで、やはり彼女は差別と闘う活動家だと改めて感じました。 

 上野さんは社会における女性差別の現状を講義したところ、10代の女性から「私たちが出ていく世の中が真っ暗なんだってよく分かりました」と答えられて、「言葉を失う」ほどの衝撃を受けたそうです。 そして上野さんは、10代の女の子がこんなことを言うのは「既得権益にまみれたおじさんたち」 「今の社会をつくってきた大人のあなた(すべての男ども)」 「傍観してきたあなた」の責任だと言って、世の男性たち、特に政治経済を牛耳るエリートたちを追及しているようです。

 自分の講義を聞いた人が自分の意に反する反応をしたら、普通は“講義の内容に何か誤解を招くようなことあったのだろうか”とか、“どのような発言をすればこちらの意を理解してもらえるのだろうか”とかいうような自省から始めるものだと思うのですが、上野さんはそうではありません。 社会は女性差別に満ちていると講義で訴えたのに、肝心の若い女性から“私たちはそんな恐ろしい社会に出ないといけないのか”と反応したことに驚き、女性にそんなことを言わせるような差別社会が一番悪いのだ、という風に話を展開するのでした。

 これは民族差別や部落差別と闘う活動家の言い方によく似ていると感じました。 活動家は、日本が差別社会だから差別問題が起きると言います。 そして差別と闘う活動家は自分たちに正当性があることを主張するために、社会の差別がどれほど厳しいかを主張します。 差別が厳しく過酷であればあるほど、それと闘う自分たちに存在意義があると考えるのですから、日本は人権侵害と非人間性に満ちあふれる過酷な差別社会だ、そんな社会を動かしている行政や会社が悪い、というような言い方になっていきます。 社会のことをまだ何も知らない若者がこれを聞くと、“世の中はなんて怖いんだ、真っ暗なんだ”という反応になります。

 在日問題においても、活動家たちは日本の民族差別がどれほど厳しくて過酷なのかを主張します。 関東大震災などを引き合いに出して、“私たち在日はいつ殺されるか分からない恐怖の中で生きている”とか言う活動家がいましたねえ。 そんなことを聞くと私なんかは、“そんな恐ろしい場所になぜ住んでいるのか、自分は覚悟して住むことができても家族をどうするのか”と思ってしまいます。


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