毎日新聞で、この『消されたマッコリ』と著者の紹介文が掲載されました。
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刊行 密造酒摘発事件とその背景は 伊地知紀子さん『消されたマッコリ。』
毎日新聞2015年12月10日 大阪夕刊
伊地知紀子さん=棚部秀行撮影
朝鮮地域研究で知られる大阪市立大教授の伊地知紀子さん(49)が、マッコリに隠された在日コリアンの悲劇をたどった『消されたマッコリ。』(社会評論社・1994円)を刊行した。1952年3月、大阪府南部の多奈川町(現岬町)で発生した密造酒摘発事件「多奈川事件」を大きなテーマに置いている。
「ほろよいブックス」と題したシリーズの一冊だが、その名に対し内容は硬派だ。伊地知さんは母方のルーツが多奈川にあり、在日コリアンのお酒をテーマにするなら、多奈川事件のことをしっかり書きたいと考えたという。
「事件の話は聞いていましたが、取材して初めて当時の報道や現場のことを知りました。いろんな方が蓄積した資料を提供してくれて、一般の方につなごうと思いました」
戦前、軍需工場の計画が持ち上がった多奈川地区には多くの朝鮮人が暮らすようになった。戦後、人々の生活の糧になったのは密造酒。だがそれは摘発対象となり、警察当局は大規模な取り締まりを実施した。朝鮮人の男性1人が、もみ合いになった警官に撃たれて死亡した。
「なぜ彼らは日本に来なければならなかったか、違法と知りつつなぜ密造しなければならなかったか。これはたまたま多奈川ですが、読む人のそれぞれのそばにそういう場所があることを考えてほしい」。身近な在日コリアンの生活史から、日本の近現代を鋭く問うている。【棚部秀行】
在日朝鮮人が酒の密造密売をしていて税務署と衝突した事件は神奈川税務署員殉職事件が有名で、これは私も知ってましたが大阪でも同様の事件が起きていたのは知りませんでした。
神奈川県の事件では税務署職員さんが虐殺されていますが大阪の事件では在日朝鮮人が亡くなっているのですね。