『韓国はどれほど日本が嫌いか』
2013-08-02


 武貞秀士『韓国はどれほど日本が嫌いか』(PHP研究所 2013年8月)を購読。

 著者は防衛研究所の研究官として長年勤め、退職後、韓国の延世大学で教授として教鞭をとった方です。そういう経歴のためか、内容は本の題名のように扇情的なものではなく、落ち着いた論調で、また説得力のあるものです。

朴槿恵政権は、中国と韓国の関係緊密化を急ぎ、米国との同盟強化で韓国の国防自主化を加速して、日本に対しては歴史認識を糺してゆくという選択をとることが鮮明になってきた。‥‥‥韓国では、1960年代以降の日韓関係の記憶をたどりながら日韓関係改善の糸口を見つけようなどという人は、一人もいなかった。経済力、国際的地位で自信をもった韓国は、70年代の記憶をたどるのではなく、19世紀にさかのぼって日韓関係を見つめ直すことにこだわる。‥‥‥(2〜4頁)

朴槿恵大統領のこの演説(2013年3月1日)の、「加害者と被害者という歴史的立場は、千年の歴史が流れても変わらないでしょう」という部分に注目したい。これから900年以上も「加害者・日本」という立場は変わらないという話である。‥‥‥これから千年間、日本が韓国に謝罪しつづけ、補償を支払っていくことを求めている演説ではないか。歴代大統領のなかでも最も「過去志向」の大統領の登場ではないか‥‥‥朴大統領自身も、日韓関係を改善させたいとする一方、「何よりも日本は正しい歴史認識をもつべきだ」と述べて、関係改善の前提として、日本側が歴史認識を改めることが先決であるという立場を明確にした。その直後から “韓中協調” ひと筋である。‥‥‥朴政権のその後の発言や外交活動には、「日本が歴史認識を改めない限り、協調する国家とは認めない」という姿勢が鮮明になってきた。(15、31、114頁)

 韓国の朴政権は、日本との関係で「歴史問題」に固執する姿勢が明らかになっています。さらに韓国は全世界に、「日本の非」を指摘する外交を広げることになります。そして、これは大統領の任期である5年間は変わらないものと予想できます。

 武貞さんは「未来志向の国家との対話を先行するという方針を貫くのが、いまの日本である。我慢の外交が始まった。」(55頁)と言っておられます。


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