今回はこれまでとは違って、歴史の雑学です。
城跡を巡っていると、時々おかしな説明が書かれていることがあります。その一つが「石落し」です。ネットで調べてみると、やはり同様に間違いの説明がされています。
[URL] [URL] 何が間違いかというと、「石垣をよじ登ってくる敵に対して石を落として撃退する」 とあるところです。
ある復元天守閣では、石落しの口の横に、子供の人頭大の石を積み上げて、これを落とす施設のように説明してあって、ビックリ。
こんな石を落して、果たして敵を撃退できるのでしょうか?真下にいる敵には少しは打撃にはなるかも知れませんが、ちょっと外れたところにいる敵には何の打撃にもなりません。
実は「石落し」というのは、弓矢や鉄砲を射かけるためのものです。城の壁面によくある「矢狭間」や「鉄砲狭間」も矢や鉄砲を射かけるものですが、こちらは水平方向。そして垂直方向に射かけるものが石落しなのです。
石落しの口からは、下にある石垣の面がほぼすべて見えますので、敵は石垣をよじ登ろうとしても、石落しから射かけられる矢や鉄砲のために、困難なのです。もし石を落とすためのものであれば、真下にさえ居なければ、何も怖くありませんので、敵は石垣をよじ登ることができます。
石落しは、名前には「石」がありますが、石とは何の関係もありません。
このように、ものの名前には単なるイメージ的なことだけで、直接何の関係もない言葉が入ることがよくあります。
もう一例をあげると「犬走り」があります。単に犬が走れるほどの小さな道というイメージ的なところから付けられたのでしょうが、これも実際の犬とは何の関係もありません。 [URL]
ある博物館で、古代建築の模型のなかに、築地塀の犬走りに犬の人形が置かれているのがありましたが、これは愛敬というものでしょうかね。誤解されなければいいのですが。
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