原尻英樹さんは講談社新書『「在日」としてのコリアン』(1998)を出すなど、在日の問題の専門家です。 その彼が『「在日」論の嘘』(PHP研究所 2006)の著者である浅川晃広さんについて、かなり厳しい批判を行なっています。 批判点はいくつかありますが、下記のようなビックリする批判がありました。
「(浅川晃広さんの)この本のあとがきには、以下のように書かれてる。 “‥‥筆者も、国立大学で勤務する者であるが、‥‥” とある。この人が常勤講師として勤めている名古屋大学は、2006年には既に国立大学ではなく、独立行政法人になっている。自分の勤務している職場の基本的経営形態さえ理解できていない人が、議論を実践し、精緻な検討をできるのであろうか。通常、専門家はこのような人を専門家としては認めないだろう。」 (『世界のコリアン アジア遊学92』(勉誠出版 2006年10月)18頁
原尻さんの浅川さんに対するこの批判は正しいかどうかですが、事実関係は誤りです。
名古屋大学は「国立大学法人」であって、「独立行政法人」ではありません。[URL] 従って、浅川さんが「国立大学に勤務」していると称することは、何ら間違いではありません。
ちなみに、原尻さんの勤務先である静岡大学も「国立大学法人」であって、「独立行政法人」ではありません。[URL]
国立大学法人と独立行政法人の違いは下記参照。 [URL]
つまり原尻さんは、自分が「自分の勤務している職場の基本的経営形態さえ理解できていない」にも拘わらず、浅川さんに対して「理解していない」と批判し、さらには「議論を実践し、精緻な検討をできるのであろうか。通常、専門家はこのような人を専門家としては認めないだろう。」とまで言い切りました。
これはもう個人攻撃です。 このようなことを本に書いていいのかどうか。書く前にちょっと調べればいいものを、浅川憎しの余り筆がすべったのでしょうか。
逆に原尻さんは「専門家」としての自分に問われることになるでしょう。 「静岡大学教授」の肩書が泣きます。
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